◆今までの彼女はすべて年上女性だった

「僕は未成年とふたりでは会わないと言っただけなのに、彼女は成人になればふたりで会えるんだと思っていた。まあ、でも確かにそうも受け取れるし、自分が言ったことだからとふたりきりで初めて会った」

 そのときに彼女といろいろ話して、趣味が共通していることに気づいた。しかも彼女の言葉のセンスや話の内容に年齢差を感じなかったという。

 そして今年の初めにつきあおうということになり、彼女の両親に「つきあうことを報告にいった」のだそう。すると両親は「もう彼女は成人だから、本人がよければいい」と言った。そして両親とすっかり仲良くなったのだという。

 つきあいは順調に続いたが、この夏、彼女とちょっとした見解の相違があった。今まで岩井は、「自分を好きでいてくれる人」が好きだった。彼女にしてみると、対等に向き合ってくれていないと感じていたようだ。

 そう言われて、年齢差を気にして「保身」を考えていたことに気づかされたと岩井は言う。

 そして、もし彼女が自分を好きでいてくれなくなっても、自分は彼女が好きだとも気づいた。今まで年上としかつきあったことがなく、結婚のデメリットにばかり目がいき、一生独身でいいと思っていた岩井が、そこで初めて、年下の彼女をひとりの人間として、ひとりの女性として意識したようだ。