■もう社会的なアレはいいみたい

 もともとクール序盤は昭和と令和のカルチャーギャップがどうこうとかで、けっこう社会を刺しにきていたこのドラマでしたが、前々回あたりからわりとどうでもよくなったようです。

 もとい、ほんとは最初からどうでもよかったけど、最初のほうは一応取り繕って見せていた感じがするんですよね。それが、もう「どうでもいいよ」と宣言してしまった感じがある。

 もはやコンプラ云々に対するドラマの問題意識は形骸化し、単に企画を成立させるためだけのエクスキューズに過ぎなくなった。個人の感想ですが、それ以降、このドラマは大変おもしろいと思ってます。

 タイムスリップを50のクドカンが書いたら、どうなるか。どういう切り口にするのかというところには、めちゃ興味がわいてくる。切り口というのは、社会に対してではなく「タイムスリップ」というフィクション上のギミックに対して、今のクドカンがどう向き合うのかという。朝ドラもやったし大河もやったし、もう「ただ、おもしろい話」だけでは周囲も納得しないし、自身も満足しないでしょう。最終回がどうなるか全然わからないけど、なんか仕掛けてるんだろうな、何かをドーンとやるつもりなんだろうなという雰囲気がビンビンに感じられました。

 そんな感じでドラマ全体の大仕掛けの概要が見えてくると、今回みたいな展開がなくて感情のフリをつくるだけの回はレビューで言うことがないんですよねえ。