──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

『光る君へ』、前回(第10回)「月夜の陰謀」のメイン内容は花山天皇(本郷奏多さん)の出家だったはずなのですが、それ以上にまひろ(吉高由里子さん)と道長(柄本佑さん)のラブシーンが大きな話題となった気がします。筆者周辺でも、「ハーレクインみたい」「国民的番組にふさわしくないキスシーンにおののいた」などの声が上がっていました。「大河」での濡れ場といえば、『平清盛』(2012)において伊東四朗さん演じる白河法皇と、檀れいさん演じる藤原璋子の「年の差カップル」が真昼間から絡み合うという衝撃映像が世に出たこともあるので、あれくらいで驚いていてはいけません……。

 余談ですが、平安時代の日本には、梅毒など恐ろしい性病がまだ入ってきていなかったと考えられるため、性愛天国という一面はあったと思います。紫式部が「理想の愛」を求め、さまざまな女性たちと関係する光源氏が主人公の『源氏物語』を書けたのも、そういう時代背景があってこそでしょう。