◆死を覚悟して、夫への復讐が再び……

 仕事だからと出かけた昂太を追って、会社を訪ねてみる陽子は、事務所の窓から昂太と理央が顔を寄せ合って話しているのを見てしまう。

 理央は昂太と別れていなかったのだ。陽子は、あまりのショックに姿をくらます。彼女が向かったのは、昂太とふたりでかつて見た海。息子の名前を「凪」と決めたあの日のことを、陽子は心の中でなぞっていく。

 そして陽子は静かに海に入って……。翌朝、犬の散歩に来ていた地元の男性が浜辺で携帯を拾う。乱れた髪にメイクの落ちた陽子が、その携帯を受け取り、よろよろと歩いていく。

 彼女はあの海で、いったん死を覚悟した。死にきれずに蘇った陽子に、もう怖いものはないはずだ。