本来であれば、池田氏ほどの影響力の持ち主なら、本記(事実関係を報じる記事)、評伝、サイド記事、語録、関係者コメント、知人らの言葉、担当記者が見た素顔など、フルに紙面に展開してもおかしくありませんが、そこまでの扱いではなかったのは、各方面への配慮が働いた結果でしょう」(大手紙記者)

 新聞記事は客観性と共に正確性も命だが、とりわけお悔やみ記事はミスが許されない。事実を淡々と伝えることが求められる訃報は一見、簡単そうに見えるが、実は記者にとっては大変な仕事だという。

「突然亡くなった著名人の場合、情報を確認してから訃報を書きますが、かなりの高齢だったり、重篤な病気に罹っている人物の場合、訃報は用意しておくのが当たり前。池田氏の場合、かなり前から健康不安説が伝えられており、少なくとも数年前には訃報は用意されていたはずです。

 ただ、1度書き上げたら終わりではなく、情報は日々アップデートしておく必要がありますし、場合によっては、訃報が届く前に関係者にコメントをお願いするパターンもある。事情を汲んでコメントしてくれる人もいますが、中には“不謹慎だ”と怒る人もいて……まぁ当たり前ですよね。“◯◯新聞が訃報を用意している”という情報が漏れてもマズいですし、著名人の訃報は優秀な記者の仕事です」(同上)