2019年1月の拡大スペシャルではたい焼きの起源が紹介され、明治42年創業の浪花家総本店の創業者とその弟によって発明されたと伝えていた。だが、これにも先述の「近代食文化研究会」が異論を唱え、「そもそも、浪花家がたい焼きを発明したという話が嘘」「明治36年には既にたい焼き屋が存在したという読売新聞記事を発見された方がいる。もうデマだと分かっている話を、NHKが正月特番であたかも真実であるかのように放送する。困ったものです」などと断じた。実際、浪花家総本店の4代目店主も週刊誌メディアの記事で「当店が発祥であることについては私自身も疑っているんです」と証言している。

 この他にも間違いを疑われた事例は枚挙にいとまがなく、番組出演オファーを断ったという研究者からは「台本がそもそも間違ってて、指摘しても修正されなかったので断った。なので、出演した教授の解説が間違ってるだけでなく、間違ってる内容をTVで話しても平気な人が出演している可能性がある」といった声もある。その一方、出演経験のある研究者からは「私が出演した時は根拠を求められて論文を提示したり、しっかり事実確認をしていたので、スタッフによるのでは」といった見方も出ているが、あまりに間違いを指摘される回数が多すぎたのか、ネット上では番組への批判的な意見が目立っているようだ。

 番組は多くの説について「※諸説あります」とエクスキューズを入れており、一部では「バラエティとして分かりやすさや面白さを重視しているから、いろんな情報が混ざるのは仕方ない」といった意見もある。だが、NHKは視聴者からの信頼性が高い公共放送であり、特にお年寄りや子どもなどは、「情報が間違っているかもしれない」と思いながらNHKの番組を観ているという人は少ないだろう。NHKらしからぬバラエティ色で人気を呼んだ同番組だが、大人たちを叱ってきたチコちゃんが逆に叱られてしまう前に、根本的なスタンスを考え直したほうがいいかもしれない。