チコちゃんは「海底が水圧でカチカチだから」と答え、海の専門家である水産大学校の教授が「陸地の土や砂利は隙間があるので水がしみ込んでいくが、海の底は砂利の下に硬い岩石でできた地殻があり、深海の水圧の大きさで岩石の隙間が小さくなって水を通しにくくなる」と仕組みを解説した。

 これに対して、SNS上で疑問の声が噴出。京都大学大学院准教授で堆積学を研究する成瀬元氏は、自身のTwitterで「チコちゃんの『海水が染み込まないわけ』の説明は完全におかしい。岩石の圧密は岩石自体の上載荷重が原因で、水圧はむしろ圧密を妨げている。静岩圧が静水圧を上回るから圧密が進行する。陸上の砂が大気圧で固結しないのと同じ。浅海の表層堆積物に比べて深海の軟泥は別に固結していない」と指摘し、さらに「地層中に透水率が低い層があると間隙水圧が上昇するが、そのような層準ではむしろ圧密が起こらない。なぜ天下のNHKでこんな単純なミスが…」と嘆いた。

 ほかにも、SNS上では「海底がカチカチだったら深海探査船が泥を巻き上げてる映像とかは何なの?」「海底の堆積物は軟泥といってやわらかい泥です。それが数百万年数千万年にわたり積もる堆積物の荷重より脱水し続成作用による鉱物の沈殿で固結します。水圧は全く関係ありません」といった指摘が相次いだ。

 また、番組では「海底の岩石にしみこんだ水がマントルに吸い込まれ、6億年後には海の水が全部なくなる可能性がある」という情報も紹介されたが、これについても京都女子大学名誉教授で物理化学などを専門とする小波秀雄氏が「これひどかった。6億年で地表水が失われるという最近の説をスタッフがネタにして、最初に出てきた(海底がカチカチと説明した)教授はひどい説明。科学番組と思わないでね」などと苦言を呈している。