◆若い頃は、本当に寝ずに過ごしていた

さとうほなみ
――2000年と2012年の翔子を演じています。10年以上の隔たりがありますが、10年ひと昔と言うように、10年過ぎれば人は変わります。さとうさん自身、10年以上前となると、かなり今とは違いますか?

さとう「とんでもなく無茶して生きていましたからね(苦笑)。ちょうど21~22歳までかな、寝る間もなく働いて。朝パン屋さん、お昼は音楽スタジオ、夜は居酒屋で働いました。それでやっと深夜にドラムの個人練習。それでまた朝になるとパン屋で働く。本当に寝ずに過ごして好きなこともできていない状態でした。そこから比べると、今は夜、ちゃんと眠るようになりました(笑)」

――練習時間を取るのも難しかったということですが、夢を追うことは、いつの時代も難しい問題です。『花腐し』も、夢を追っていた女性の物語として観ることもできます。そこに人生の節目となる出会いや出来事が重なって。そうした部分は共感できましたか?

さとう「二十歳前後のときに祥子が伊関と出会って、彼女は夢に向かって頑張っていた。でも伊関は夢を諦めようとしているところがあって……。それから年月が経って、栩谷と出会ったときの祥子は、今度は別の気持ちになっています。私自身、若い時の祥子の夢への気持ちももちろん分かるし、年月を経て、環境の変化とともに考えが変化していくことも分かります。

あることがあって、栩谷の態度に裏切られたような気持ちになったり、彼がいなければ自分にはもう行くところはないと感じたり。30歳を過ぎた祥子の不安は体にも出てくるものでしょうし、分かるというか、分かってしまうようなところもあると思います」