第64代横綱・曙太郎が亡くなった。まだ54歳という若さだった。

 ハワイ出身の元関脇・高見山こと元東関親方にスカウトされて来日し、身長203センチの恵まれた体躯を活かして、序の口から歴代1位となる18場所連続勝ち越しという記録をつくった。

 その頃は、貴乃花、若乃花という兄弟の人気がもの凄かったが、その前に立ちはだかった曙も存在感を示し、1993年1月場所後に横綱に推挙され、横綱になった。

 見た目とは違って、素顔はやさしく皆から慕われていたという。

 だが糖尿病を患いインスリン注射を打っていたのに、ジンロの瓶を27本空けて上機嫌になり、20人くらいいたホステスたちに1万円ずつ配ったこともあったそうだ。

 引退し、日本国籍も取得していたのに、相撲界を離れて、プロレス界に転身した。

 2001年大晦日、K-1のリングでボブ・サップと対戦。失神KO負けを喫したが、視聴率43%(ビデオリサーチ調べ)というもの凄い数字を叩き出したのである。

 だが格闘技では4戦全敗。大きすぎる上半身を下半身が支えられず、立っているのもやっとだったから仕方あるまい。

 結婚して3人の子供をもうけたという。長い入院生活だったが、巨大なおむつを穿きながら、「またK-1のリングに上がりたい」といっていたそうだ。

 記録よりも記憶に残る力士だった。冥福を祈りたい。