■視聴者の信頼、という強さ

 だいたいの人は銀行のことなんて何も知りませんが、そういうもんなんだろうなと思わされるんですね。池井戸潤が元銀行員だという前情報もあるし、『半沢直樹』(TBS系)も見たことありますからね。銀行のシステムについては、このドラマは正しいことを言ってるんだろうなという信頼感がある。そこがまず強い。

 加えて、池井戸作品は「銀行は正しいことをやるべきだし、経済はがんばってる人が報われるべき」というメッセージが絶対にブレないということと、エンタメとしてヘンなことをしないという信頼感もある。ある程度のおもしろさが保証されている状態から、上澄みだけを楽しみにすればいいというところまで来てるんです。

 今回は、花咲のバディである相馬健(山本耕史)が、花咲の実家の居酒屋を訪れるという楽しいシーンがありました。出迎えたマスターは花咲の叔父である花咲健。演じているのは、前シリーズで花咲(杏)のバディだった上川隆也です。こういうサービスをする余裕もある。強い。

 最初に「お手本みたい」と書きましたが、もちろんすべてのドラマがこんな風に予定調和の中で安心して楽しめるものであってほしいということではありません。ただ、これが壁なんだろうなと思うんです。ドラマを「変えてやる」と思ってる若い人たちにとっての、これが壁なんだろうなと。高いですよねえ、壁。

(文=どらまっ子AKIちゃん)