◆いまだに人前に出るのは苦手だし、ポジティブな人に憧れる

白洲迅さん
――白洲さんは、以前はどちらかというとネガティブ思考に偏りがちで、ポジティブな状態でいられる人に憧れるとお話されていました。

白洲「今もそうです。人前に出るのもいまだに苦手ですし、ポジティブな状態でいられる人には、憧れるし、ずるいと思ってしまうくらいです。ただ、自分ももう30歳を超えましたし、ネガティブでいることも、ある意味原動力になっているのかなと思うようになりました」

――みなさん、満足しちゃダメだとおっしゃいますし。

白洲「先輩方もおっしゃいますよね。俳優って、どうやらそういう仕事みたいなんです。一生満足できない(苦笑)。それってしんどくない?とも思いますが、もうそういうものなんだなと。“この芝居、もっとできたのに”とか思ってしまったとしても、そうした気持ちが、“次、より頑張ろう”と思うための原動力になるんだと、自分の中で消化させられるようになってきた。

20代のときは、ただ落ち込んで、“どうしたらいいんだ”とお手上げになっていた時期もありました。でも自分には自分の良さとか、表現の仕方があるのかなと。どちらかと言うと、赤ではなく静かに燃える青い炎なのかなとも思えるようになりました」

白洲迅さん
――青い炎のほうが高温だそうですし。

白洲「赤々と燃えるような炎の表現もできたらいいなとは思いますけどね。ちょっと前までは、というか、今もまだですけど、いろんなことに羨(うらや)ましがっていました。でももっと広い視野に立って、フラストレーションを感じることがあったとしても、それすらも、何でも受容して自分の表現に変えていけたらと。実際、そうできている人が、長く活躍されている先輩方には多い気がします。

何かに挑戦するときも、“それじゃできないよ”じゃなくて、“とりあえずやってみるか”という心構えで。それで間違っていたとしても、やったことによって、また違った表現が生まれるかもしれないですし」