◆演出家・吉田鋼太郎は、普段のひょうひょうとしたおっちゃんじゃない
――改めて舞台での吉田さんにすごさを感じていますか?
白洲「まだ稽古は始まったばかりですが、すでに得るものがありすぎるくらいですし、最初は驚きもかなりありました。
まず、鋼太郎さんのシェイクスピアに対する愛。特に『ハムレット』に対する思い入れがものすごくて、普段のひょうひょうとした、特にドラマの現場でのユーモア溢(あふ)れるおっちゃんじゃありません。最初の挨拶のときに“全身全霊をかけて、命をかけて”という言い回しをされていたのですが、それを聞いてやばいと、“これでもか!”というくらい背筋が伸びました」
――いま「得るものがありすぎる」と口にされた姿が、とても嬉しそうでした。
白洲「こんな世界があるのか、という気分なんです」
――これまでにも舞台は経験されていますが。
白洲「シェイクスピア劇はある意味時代劇といいますか。言葉自体がすごく難しいし、詩的だし、それを読解していくだけでも気の遠くなるような作業です。いろんな解釈があるだろうから、正解もないし、そのなかで鋼太郎さんの解釈、演出家としての説明がすごく面白くて、同時に、求めるレベルがすごく高いんです。
鋼太郎さんレベルだと可能なことなんでしょうけど、抽象的になりますが、“右を見ながら左を見る”みたいな、相反するようなことを成立させようとする。すげえなって」
――それは大変そうですが、でも嬉しい?
白洲「プレッシャーとともに、それを成し遂げられたら、きっとまた全然違う景色が見えるんじゃないかという期待の意味での喜びも感じているのだと思います」
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