ワンオペ育児を脱出するまでの、夫婦の長い道のり

――ワンオペ問題は多くの女性が抱えていると思いますが、どうやって抜け出したんですか?

「料理できなくて何が悪い!」人気漫画家がワンオペ家事をやめるまでの長い葛藤
(画像=『女子SPA!』より引用)

大久保「夫との話し合いの中で、私が忙しいときは家事をして欲しいって言ったんです。そうしたら『いつが忙しいのかわないから、言ってくれないとわからない』と言うんです。そんなの、めちゃくちゃ忙しい時にいちいち全部指示してられないじゃないですか! 『じゃあ、家事を全部自分にまかせてもらったほうがいい』と言うから、まかせました。最初は罪悪感がすごくて、手を出しそうになって引っ込めてってことを数年やりました。

 でも実はその前に、料理以前の問題が山積みで、耐えきれなくなって離婚を前提とした話し合いをしたんです。人間関係って、友達でもなんでも『ここは嫌だな』『別れたいな』って思うことがあるじゃないですか。だけど私は口に出して言うことで争いになったり空気が悪くなったりするのが嫌で言ってこなかったんです。

女同士ならわりと空気読みあって伝わったりもするんですけど。でも本当に言わなきゃダメだというところまできたから、小出しにするようになったんです。でも『これやめて』っていうと『うん、やめる』って言って次の日に同じことをする。その繰り返しで結局ひとつもわかってないってことが続いたんです」

悪気はないけど「男が上」と思ってないか?と

「料理できなくて何が悪い!」人気漫画家がワンオペ家事をやめるまでの長い葛藤
(画像=『女子SPA!』より引用)

大久保「家事も育児も、何を言っても『うんうん』と言いながらスルーするって、どういうことだと。やめてと言ってもやめない。人が嫌がっていることをしてなにも思わない人間性ってどうなのかなと思ったんです。

 悪気はないんですよ。でも『男は酒を飲んで少々面倒くさいことをしても、女はそれを笑って受け入れるものだ』みたいな潜在的な日本の男尊女卑思想が染みついているんですよ。それを言っても夫はポカンとして『何が悪いのか』って言うんです。だから、女の人は我慢を求められて、男の人は許されるっていう感覚のまま会社でも同じように行動しないようにとか、すごく言ったんです。女の社員さんに対してそういうことをしたら、今は大問題だと思うから、『自分は何をやっても許される』っていう考えから脱して欲しいとかなり説明しました。これは男女だけの問題ではありませんが。

 例えばこちらが何かを話していても、相づちもなくすぐ違う話を始めたりするんです。『そういうときはまず返事をして欲しい』とか、小さいことから全部指摘していきました。すべてにおいて、自分が上に立っているという意識がないかってことをずっと言いましたね。こういうと私、すごくうるさい人みたいですけど!」

小さなことからひとつひとつ言っていった

――旦那さんは嫌がらなかったんですか?

大久保「それが、嫌がらなかったんですよね。とにかく、とことん言ってもらわないとわからないから、言ってくれと。でも、話をするときはすごく悩みました。最終的には、小さなことからひとつひとつ直して私が求めることを聞いてもらえるのか、でも強制はしたくなかったので、自由にやりたいなら離婚して別々に生活するか、どちらか選んでくれって言いました。夫は『そこまでの話?』みたいな反応でしたけど……。でも、私もこれまで積み重なっていたものがあったので。離婚という言葉を出した時に、夫にとって初めて現実味が出たみたいなんです。それくらいのパワーワードだったみたい。本当に離婚しようと思ったし、そのつもりで動いてもいたんです。でもそこから夫がすごく変わってきたので、今に至るって感じですね」