cacaoは『キングオブコント』にもっとも近い存在

 では「大阪のトリオ勢はおもしろくないのか?」と言われたら、まったくそうではない。

 たとえば『ミキBASE』に出演したcacaoは、番組内でもミキが「今、名前をよく聞く」と話しているように成長株である。大阪のトリオのなかでも、『キングオブコント』ファイナリストにもっとも近い存在ではないだろうか。

 cacaoのネタの素晴らしさは、3人という人数をうまく生かしているところだ。特に筆者がお気に入りのネタ「カツアゲ」は、ひとりの学生にふたりの不良が絡んで金を奪うが、1名の不良がその場を去ると、残された不良が「ごめん。本当はこんなことをしたくないけど、あいつがいるから」と金を返して帰っていく。そうすると入れ替わるように、一度去ったはずの不良が戻ってきて「さっきはごめん」と金を返す。それを繰り返して、カツアゲされた学生の手元に金が増えていく。

『ミキBASE』でも披露されたネタ「聞きっぺ」は、3人の学生が先生の指導方針に不満を持ち、改善を求めるというもの。不満を言い始めた「言い出しっぺ」の学生ではなく、話を聞いてばかりだった「聞きっぺ」の学生が先生に相談しに行くが、何度も殴られて帰ってくる。しかし後半にかけて思わぬ展開が繰り広げられる。

 cacaoのネタの見どころが、3人がステージとステージ外を出入りする部分。そうすることで人数に変化が生まれ続け、「物語」だけではなく「舞台」そのものが動いているように見える。ピンやコンビではなかなか成立させづらい、トリオならではの「人数の使い方」だ。「出入り」の演出が絶妙に光っている。