──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

 前回の『光る君へ』のメイン内容は「世代交代」についてでしょうか。父・藤原兼家(段田安則さん)の逝去を受けて、嫡男・道隆(井浦新さん)が摂政の地位を継ぐことになりました。一方で、安倍晴明(ユースケ・サンタマリアさん)には「次なる者も長くはあるまい」という予言をされていますが、史実の道隆は、井浦新さん演じる粛々としたタイプではまったくなく、思慮が足りない大酒飲みの陽気なおじさんで、わが子を見境なく昇進させ、ほかの公卿たちから嫌われても平気という困った御仁でした。

 ドラマでも嫡男・伊周(三浦翔平さん)が17歳の若さで蔵人頭(くろうどのとう)という役職に抜擢されたことを、藤原実資(秋山竜次さん)たちが苦々しく見守るという描写がありましたね。