“呪い”を題材にした実話系の映画たち

 3時間にわたって天才科学者の苦悩を没入体験させる『オッペンハイマー』よりも、一見すると明るい平和そうな家族に隠された“呪い”のほうが、日本の若者たちにはより身近で気掛かりな問題なんだと思いますよ。

 4月5日から公開が始まった実話系映画『アイアン・クロー』と『毒娘』も、家族というドメスティックな環境に閉じ込められた人たちの悲惨なドラマです。『アイアン・クロー』は実在した「呪われたプロレスラー一家」を題材に、『毒娘』はネット掲示板に書かれた育児放棄された少女の逸話をモチーフに、家族という名の“呪い”を描いた作品になっています。

 まぁ、『オッペンハイマー』も、オッペンハイマー博士が「プロメテウスの呪い」に悩み続ける物語だと言えるし、どこのメディアも「数字を稼がなくちゃいけない」という強迫観念に囚われている状態でしょう。いろんな“呪い”が交錯しているのが、現代社会なのかもしれません。