◆光源氏的な振る舞い

 第3回、女性たちからの恋文を読み上げながら辛辣な批評を下す公任のプレイボーイぶりがリアル光源氏だとネット上では囁かれた。公任を筆頭に、道長、藤原斉信(金田哲)、藤原行成(渡辺大知)による“平安のF4”が集まり、女性に関する談義を繰り広げる様は、『源氏物語』にも同じような場面がある。

 「帚木」の巻に有名な「雨夜の品定め」としてあり、男性貴族たちが好き勝手に下世話な会話で盛り上がる。そんな他の貴族を横目に光源氏は横になって、あまり熱心に話には入らない。むしろ率先して批評していた公任は対照的で、光源氏的な振る舞いとはいえないことになる。

 ただし談義前の公任は、床に寝そべるという光源氏的体勢をとっている。『源氏物語』には「柔らかい白い着物を重ねた上に、袴は着けずに直衣だけをおおうように掛けて、からだを横にしている源氏は平生よりもまた美しくて」(与謝野晶子訳)とあり、光源氏と公任の寝そべりの美しさは共通している。