◆平安的美意識の鑑
絵巻の男性貴族たちには他にも共通点がある。みんな肌が白いことだ。『源氏物語』の作者である紫式部の日記『紫式部日記』には、男性貴族も白粉で化粧することが身だしなみの常として描写されている。
あるいは紫式部による54帖の『源氏物語』でもっとも分厚い「若菜」の巻下に記述がある通り、白粉は顔にベタッと厚く塗るのではなく、薄く透明感ある白さが風雅であったよう。
となると、地黒な肌そのままの秋山扮する実資は、透明感の観点からするとちょっと美意識が違うかもしれない。一方、公任を演じる町田は申し分なく白い。透明感あるその白さは、平安の美意識の鑑ではなかったか。
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