■回せ、松永。

 令和の時代で半年間を過ごし、すっかりアップデートされたオガワにとって昭和のガサツさは耐え難いものでした。それでも「寛容が肝要だよね」と歌い上げて、ドラマは終わりました。

 このレビューでは『ふてほど』について、社会的なテーマを扱うのはいいけどキーワードだけ出して取り扱いが雑だよね残念だよねということをずっと言い続けてきたわけですが、そのへんは雑なまま、結局のところタイムスリップについても雑な取り扱いになっちゃったという印象でした。つまりは、何も真剣に取り扱ってない。メディアとしての問題提起も、フィクションとしてのストーリーテリングも、何もかもが真面目じゃない。そういう作品になったと思います。

 エモいかエモくないか、バズるかバズらないか、叩かれるか叩かれないか、SNSとネットニュースの顔色ばかりをチラチラと伺って、いかにもそういう視聴者の声を上から見下ろしているような、「おまえらの好きなものを提供してあげてますよ」「これで踊りなさいよ」というスタンスしか残らない、ダセぇ作品だったと思います。

 象徴的だった、最終回のシーンがあります。