■時代の変遷を問う者として
一方で、昭和に舞い戻った令和の社会学者・サカエ(吉田羊)が、将来の夫である少年に「おまえが男好きなのは女にモテないからだ」という暴論を吐いたシーンを筆頭に、『俺はチアリーダー』という新ドラマのタイトルにクレームが入った話とか、それに対する局側の対応とか、どうにもスイングが一定じゃないんです。
インティマシーコーディネーターという時代の象徴ともいうべき職業を登場させておきながら、まるで昭和みたいな高圧的な芸能マネジャーも同時に出しちゃうことで、事前にすり合わせて了承を取りましょうという本来のコーディネーターとしての役割をスポイルしてしまっていたり、業務連絡に使っているLINE(のようなアプリ)を一緒くたに「SNS」と呼んで「本気で取り組むもんじゃない」と断言する粗雑さだったり、企画としては「昭和のシンボルであるオガワによって令和を撃ちたい」という青写真がくっきり見えてるのに、それを現像する脚本家が全然撃ちたくない、むしろ「真剣に撃とうとしてませんよ」というエクスキューズを得るために、あえて令和の問題をデフォルメしているように見えるんです。
今回の性差の問題にしても、前回のテレビのコンプライアンスの話で「うどんがシコシコ」「カニクリームコロッケの中がトロトロ」を問題視するシーンだったり、茶化してるだけでコメディにもなっていない切り口をずっと見せられてる感じ。
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