■タイムスリップコメディとして

 2つの時代に同一人物を置いて、主人公を行き来させながら恋愛したり青春したり。時にパラドックスに阻まれたり、思い通りに時間旅行ができなかったりというトラブルに見舞われながら、つじつまを合わせていく。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)の例を見るまでもありませんが、タイムスリップものの最大のカタルシスは「つじつまが合う」ことです。

 誰が誰の親だから、ここがくっついたらダメ。この時代に放たれたたったひとことの言葉が、別の時代を大きく変えていく。謎と伏線をばらまけばばらまくほど、つじつまが合ったときの快感は大きくなりますから、脚本家にとっては腕の見せ所だし、一生に1回くらいはチャレンジしたいものなのでしょう。『BTTF』は1時間56分しかないけど、それが連ドラなら10数時間が与えられるわけです。謎は残し放題だし、伏線は張り放題。そんなの、楽しいに決まってるんだ。

 今回も、昭和の純子(河合優実)とムッチ先輩(磯村優斗)、キヨシ(坂元愛登)の三角関係についての描写は楽しかったし、スカイラインRS TURBOの登場には「『西部警察』だ!」と思わずにっこりします。令和でヨボヨボの古田新太が元気印の阿部サダヲに「お父さん、ですよね……」と打ち震えるシーンなど、まさしくタイムスリップ物語のひな型みたいでわくわくするものです。これだけやってればいいのに、と思うけど、それじゃ企画が通らないんでしょうねえ。