ここでの主役は当然、盛田でありジョンヒョプである。通訳さんの存在感は、一旦スタジオから消える。外国人への「イメージダイブ」が初めてであることから「加減がわからないんで、やりすぎてしまったらすみません」という盛田の発言も、緊張感を煽る。スタジオも視聴者も、これから起こる一連を緊張しながら見つめることになる。本当に緊張しているわけではない。緊張感を持って見たほうが楽しめることを理解しているからだ。

 対峙する盛田とジョンヒョプ。ここで最初のイレギュラーが起こる。

「チョヌン、モリタシンプルイズベスト、イムニダ」

 盛田が自己紹介を韓国語で行ったのだ。これは盛田のアドリブだろう。そして、盛田が用意してきた韓国語はこの一文だけだったに違いない。

「私は、盛田シンプルイズ……」

 通訳さんが、とっさにこれを通訳してしまう。通訳という仕事の習性として、韓国語が聞こえたら日本語に訳さなければならないという職業意識が働いたのだろう。だが、韓国語だからジョンヒョプには伝わっている。結果、盛田の韓国語を日本語に訳して伝えるという奇妙な状況が生まれる。