伏線はあった。

 番組冒頭から、MCの川島明は今日の通訳さんに多少なりとも食いついていた。「この番組を知っていましたか?」という質問に対して、ジョンヒョプの返答が「もちろん知りません」と訳され、川島がキツめにツッコミを入れる一幕もあった。この時点で川島は、すでにこの通訳さんにイジりしろを見出している。スタジオにもうっすらと通訳さんのハプニング的な発言に期待する空気が漂い始める。

 さらに「イメージダイブ」という芸の特性も、今回の爆発には一役買っている。盛田は、怪しげながらシリアスなキャラクターとして登場する。「イメージダイブ」中には決して表情を緩めないし、BGMも緊張感を煽るものだ。盛田が相手のイメージを言い当てるところがオチになるが、爆笑よりも感心させつつ普遍的な回答を持ってくることで「そんな大仰にやることかよ」という構成全体の空気感を楽しむタイプの芸なのである。

 かくして、チェ・ジョンヒョプに対する「イメージダイブ」が始まる。

 おそらく、この場面でも通訳さんには「通訳をお願いします」というオーダーしか入っていない。立ち位置や、誰の発言を訳すのかという細かい指示はなかっただろう。おのずと、通訳さんはチェ・ジョンヒョプの傍らに立つことになる。