三成の最期の描写については、ファンの間でもいろいろと賛否あったようです。大津城において、家康と三成は悲劇的な再対面を果たすのですが、もとは「戦なき世」をつくろうと励まし合った同志だったと信じていた家康は、何が三成を変えてしまったのかと彼に問いかけるものの、三成は対決姿勢を崩さず、「私は変わっておりませぬ。この私の内にも戦乱を求むる心が確かにあっただけのこと」と答え、「戦なき世などなせぬ。まやかしの夢を語るな!」と一喝してきました。三成のセリフの行間を筆者なりに読み解くと、これまでは加藤清正、福島正則といった秀吉子飼いの大名たちに押され、自分は平和を望む「文治派」の役割に回っていただけであり、武将としての闘争本能を隠さざるをえなかっただけなのだ、そしてそれを出し切って負けた以上は何の悔いもない……と言いたかったのでしょうか。ドラマの三成は他の武将たちのように「ヒーロー」になりたかったのかな……というようなことを感じてしまいました。当時は戦が主要産業のような世の中でしたしね。

 さて、『どうする家康』も残すところ5回となりました。さまざまな主要キャラが亡くなる、もしくは引退して消えていく展開が続くと思われます。次回予告では、榊原康政(杉野遥亮さん)が「もう我らの働ける世ではないかもしれんぞ」と語るセリフが聞こえましたね。その康政と槍で打ち合う本多忠勝(山田裕貴さん)が「見届けるまで死ぬな!」と泣いている場面もありました。酒井忠次(大森南朋さん)亡きあと、「徳川四天王」の残り3人も晩年を迎えています。

 ドラマ第43回では、井伊直政(板垣李光人さん)が関ヶ原の戦いで負傷し、(筆者はないだろうなあと思っていた)家康が彼の右肘を手当てしているシーンが出てきたので驚いたのですが、慶長7年(1602年)2月1日、直政は鉄砲傷がもとで亡くなっています。おそらく次回で直政は退場することでしょう。

 直政と同様に次回で退場しそうなのが、榊原康政と本多忠勝です。