ちなみに東野さんのコメントだが、僕が思うに、大阪のテレビ局に勤めている専属のカメラさんや音声さんは前述した通りお笑いへのこだわりが強いはずだ。なのでどうしても大阪への贔屓が出てしまい、東京から来た若手芸人に対しては厳しい見方をしてしまうはず。なのでもしこれが大阪在住の若手芸人であれば、同じギャグをしたとしてもこの時の「怪奇!YesどんぐりRPG」よりは笑いを起こせていたのではないだろうか。こだわりが強いだけにもっと冷ややかな状況になる可能性もあるが。

 僕も昔お笑い芸人をしていたのでわかるのだが、「東京のスタジオは笑ってくれる」というのは確かにその通りだと思う。面白かろうが面白くなかろうがスタジオの雰囲気やテンションを上げ続ける為にスタッフさんはボケやツッコミという笑い所では確実に笑ってくれるのだ。それはディレクターさんやADさんだけではなく、主要となるカメラマンさんなども同じように笑う。

 なので大阪の技術さんは専門的な仕事をすることが仕事かもしれないが、東京の技術さんは笑うということも仕事に組み込まれている気がしてならない。そうやって笑うことにより演者は気持ちよく仕事が出来て本来持っている力より上のパフォーマンスをすることができるかもしれない。

 つまり前時代的な教育方法の「厳しく育てる」ではなく、現代風の「褒めて伸ばす」ということなのだ。なので東京のスタジオでは昔に比べて若手芸人が伸び伸びとボケて、楽しそうにお笑いをやっているように見える。多少厳しく育てることも必要な気もするが、本番のパフォーマンスを萎縮させるぐらいなら、スタジオでは過剰なほど笑うことこそ、正しいやり方なのだ。