だからと言って完璧に壁が無くなったわけではない。元々お笑いというものが生活に根付き、独自の文化として確立してきた大阪だからこそ、そこに住み育ってきた人たちはお笑いへのこだわりが強く、他の地域、特に東京のお笑いに対して対抗心を持ち、無意識下でマウンティングをしようとしてしまうのだ。これが良い事か悪い事かはわからないが、この隔たりがあることで、薄まったとは言えいまだに他の地域とは違うお笑いへのこだわりが存在するのだ。

 この大阪の人の笑いへのこだわりが分かるニュースが飛び込んできた。27日、関西テレビで放送されている「お笑いワイドショー マルコポロリ!」にお笑いユニット「怪奇!YesどんぐりRPG」が出演し、いつも通りギャグを披露した。ところがスタジオではあまり笑いが起こらずそれに対してメンバーのサツマカワRPGさんが「もっとウケますもん。東京のスタジオは」とコメントしたのだ。

 それに対してMCの東野幸治さんが「東京のスタジオは笑ってくれるから。大阪のスタジオは誰も笑わないけど、こんなんよ、茶の間って」と。東京の過剰な笑いを指摘し、大阪の視聴者の実態はこんな感じだと諭したのだ。さらに「カメラマンさんもまず撮るのが仕事。音声さんも音声録るのが仕事で、笑うのが仕事じゃない。それぞれの仕事をやりながら、大人やから笑っているわけよ。集中して笑っているわけでは無いことはわかってくれ。みんなプロやから」となんとも東野さんらしい返しをしたのだ。

 普段東京でも仕事をしている東野さんだが、やはり大阪で仕事をするときは大阪モードになるのは間違いなく、さらにサツマカワさんの「東京のスタジオは」というある意味禁句のような、明らかに大阪の人から反感をくらうであろうフレーズを受け、あえてサツマカワさんに厳しめのコメントをすることにより、スタジオ自体のストレスを軽減させたのだろう。さすがといったところだ。