しかし昨今一部の成功者たちからは「下積み不要説」も唱えられており、ある程度才能やそれなりのシステムがあれば下積みなどなくても成功すると言われている。この持論を信じ、自分にもできると思う方もいるかもしれないが、ハッキリ言って、運や才能だけで仕事が長続きするということはほとんどあり得ない。仕事を初めてすぐに認められたとしても、その後挫折をし、そしてまた這い上がるという図式が多く、挫折時がまさに下積み時代となるのだ。

 お笑いでいうと猿岩石で成功をおさめたが、まったく仕事がなくなり、地獄のような日々を送っていた有吉さんや、デビューしてすぐにレギュラー番組を何本も持ち、スターダムに駆け上がったが、1年も待たずにレギュラー番組が減り、苦渋をなめたオリエンタルラジオさんなど、今は活躍しているが、その姿になるまでに時間がかかっている。つまりその落ち込んでいる時代に他の芸人や共演者、スタッフさんたちと絆を深め、本来下積み時代に経験することをそこで経験し、そして這い上がったのかもしれない。

 つまり下積みというのは思っているよりも大事で、才能や運では手に入れられないものを手に入れる為の大切な時代だと思う。しかも芸能界に関しては、この下積み時代に手に入れられるのは信頼関係や人脈だけではなく、応援してくれるお客さん、つまりファンを獲得する可能性もあるのだ。

 その代表格のグループと言えば、4人組ムード歌謡コーラスグループ「純烈」だ。下積み時代に老舗キャバレーや、健康ランド、スーパー銭湯などで営業活動をコツコツと行い、そこから火が付き、「スーパー銭湯アイドル」と呼ばれるようになり、紅白歌合戦(NHK)にまで出場した、まさに下積み時代が全部良い方向へ行った人たちだ。