どんな仕事でも「下積み」という時代がある。この「下積み」という時代を皆さんはどのように思っているだろうか。人によっては「スキルの獲得」を目的としたものと認識している人もいるかもしれないが、たぶんだが下積み時代にスキルの獲得をするのはかなり難しい。そもそもスキルというのはある程度知識を持った状態で本番に近い経験を行ってこそ培われるもので、本業に対する雑用のような段階では身につかないものなのだ。

 では何のために「下積み」をするのか。僕が思うに、職場において自分の位置を確立する為なのではないだろうか。例えば同じ職場の先輩や上司との信頼関係を構築したり、店外の人脈を広げる為の準備期間といったところだ。

 これは聞いた話だが、修行をするようなお店の場合、ある程度経験を積み、ブランド価値を下げないと信頼してもらえると暖簾分けという形を取り、自分の店が持てるようになる。その際にお客さんの一部を暖簾分けした店に与えて、開店当初の運転資金の確保をしてくれるそうなのだ。そういった意味でも下積みをしっかり経験し、信頼関係を築くことはとても大切で、ないがしろに出来るものでは無い。