公開2週目以降も数字を伸ばし、邦画のヒット作の基準とされている興収10億円は楽々突破しそうな集客ぶりだ。ただ、さる映画ライターは次のように語る。
「世界的に高い評価を受けている北野監督の作品だが、暴力的要素が多いこともあってか、思ったほど数字が伸びていない。歴代の監督作での興行収入トップは不朽の名作をリメークした『座頭市』(03年)の28.5億円。それに続くのが、藤竜也が元ヤクザの親分役で主演を務め、老人たちの活躍を描いた『龍三と七人の子分たち』(15年)の16億円。三部作の『アウトレイジ』シリーズは2作目と3作目が15億円ほどを記録したが、10億を超えたのはこの4本のみ。『首』がどこまで数字を伸ばすのかが注目される」
製作から公開に至るまでには、脚本を読んだ渡辺謙が主演を断ったり、配給元のKADOKAWAと揉めたため、お蔵入りの危機が報じられたものの無事に公開。総製作費は邦画では破格の15億円で、主演の西島秀俊が明智光秀役、ビートたけしが羽柴秀吉役、加瀬亮が織田信長役、小林薫が徳川家康を演じるなど豪華キャストが名を連ねる。
さらに5月に開催された『第76回カンヌ国際映画祭』の「カンヌ・プレミア部門」には、日本人監督の実写作品として初めて選出され、北野監督によると、故・黒澤明監督に「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』(1954)と並ぶ傑作が生まれるはず」と言わしめたほどの作品だというのだが……。
【こちらの記事も読まれています】