しかし、自身もMC芸人だけに浜田雅功は設楽の才能を見抜いていたのか、後期の『リンカーン』では準レギュラーながらコーナーMCを担当させるようになる。また、番組終了後も特番として続いた人気企画「芸人大運動会」では、並み居るレギュラー出演の先輩芸人らを差し置いて裏回しを任せたりと、浜田は設楽に全幅の信頼を寄せていた。また、MCとしての評価が定まった近年の設楽は『クレイジージャーニー』(TBS系)で松本、小池栄子とともに司会を務める。さらに設楽は多くの冠番組を抱えるだけに、キャスティングなどの発言力も持っていることが窺える。つまり、現在の彼はダウンタウンも一目置くほどの大物MCということだ。
一方、石橋は根っからの体育会系気質。後輩芸人に対するイジリは苛烈そのもの。『みなさん~』でも日村のように多くの芸人が高額な買い物を強制されたり、有吉弘行やデンジャラスのノッチなどはいきなり石橋にバリカンでもみあげをカットされたりと、後輩芸人への無茶振りで笑いを取っていたものだった。何も知らない芸能人を落とし穴や水中に落とす「全落・水落シリーズ」では、あわや事故といった事態もたびたび起きた。
「あまり面白くならないためか、他の番組ではイジリられる機会が少なかった設楽も、『みなさん~』では構わず石橋に執拗にイジられていました。こうした石橋による若手への傍若無人な振る舞いの背景には、後輩は先輩に絶対服従するものだという体育会系的な価値観があります。令和の時代には全く則さない、昭和的な古い芸風と言えます。しかも石橋本人には悪気がないから、余計に始末が悪い」(同)
古い価値観に生きる石橋からすれば、先輩と後輩の上下関係は永久に変わらない。後輩は中堅やベテランになっても若手のように先輩の石橋にイジられ、無茶振りをされる。設楽はこれを嫌って、石橋との共演を拒否したのではないか。