「銀行口座の長期間放置は絶対ダメ」これは銀行員で、多くの顧客の資金相談にのってきた筆者が口をすっぱくして言いたいことです。銀行口座を長期放置すると、手数料を取られたり、自分のお金なのに引き出すのが異常に大変になったりします。

今回は、銀行口座の長期放置がNGな理由と、使っていない口座の活用法を解説します。

NGな理由1:2年以上放置すると未利用口座管理手数料を取られる

近年、銀行口座を2年以上放置すると「未利用口座」とみなされ、管理手数料を取られるようになりました。たとえば、りそな銀行では2年以上入出金などの取引がないなど、一定の条件に当てはまる口座について、年間1,320 円の未利用口座管理手数料を徴収しています。

口座に手数料分の預金がない場合はすべての預金残高が手数料として徴収され、同時に口座が解約される仕組みです。

もし、その銀行の営業エリア外に引っ越したなどの理由で口座を使う予定がないなら、思い切って解約するのもひとつの方法です。また、通帳やキャッシュカードがなくても払い戻しや解約の手続きに応じてもらえるので、一度銀行に連絡してみましょう。

NGな理由2:10年間放置すると休眠預金になり引き出すのが大変になる

10年以上利用していない口座は休眠預金として扱われます。休眠預金の引き出しは窓口での手続きが必要で、ATMで引き出すことができません。休眠預金のお金は、公益活動の支援に活用されます。ただし、外貨預金や仕組預金、財形貯蓄などは対象外です。

銀行では最後の取引から10年以上経過した休眠口座の所有者に事前連絡していますが、住所変更の手続きを行っていないと連絡が来ないので注意しましょう。

10年の間に引っ越しをしたなら、登録されている住所が現在のものに更新されているかを確認するのをおすすめします。

管理されていない休眠口座は犯罪が起きるリスクがあるので注意が必要です。過去には、東北の地方銀行の行員が「不正に入手した休眠預金の預金通帳と偽造した払戻請求書を用いて現金をだまし取る」というショッキングな事件がありました。

口座の使い方を見直してうまく活用するという手も

銀行口座は、管理できずに長期間放置するのであれば、すぐにでも解約したほうがいいでしょう。無理に解約せずに、上手に活用するのも選択肢のひとつです。

ひとつの提案として、休眠口座になっていた口座を「先取り貯金用の口座」にしてみるのはいかがでしょうか。貯金をしたいなら、毎月一定額を別の口座に取り分け、残りの部分で生活をやりくりする「先取り貯金」がおすすめです。給与など入ってきたお金のうち、一定割合を貯金として取り分けて専用口座に入金すれば、無理なくお金が貯められるようになります。

また、ある程度貯まったら一部を資産運用に回すなど、上手に増やすことも考えてみましょう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。