◆否定せずに認め合い、人が成長する姿が心を打つ
はじめは「男は会社で上を目指すべき!」「お茶は女の人が淹れたほうが美味しい」など、令和では明らかにハラスメントな発言をしていた誠。それらがコンプラ違反だと徐々に理解し始めてからも、築き上げた自分の尺度を変えることができず苦悩していました。
しかし友人の大知が「アップデート」という前向きな言葉を使い、誠の価値観に理解を示したことが、誠の変わる大きなきっかけに。回を重ねるごとに、葛藤しながらもトライ&エラーを繰り返し、大切な家族や周囲の人たち絆を深めていきました。
心から良作だと感じたのは、本作が誠を一方的に悪者としたり、誠ひとりに「アップデート」を強いたりなかったこと。誠の20代の娘に10代の息子、そして同い年の妻も、誠に影響されて前向きに変わっていきました。
『不適切~』と本作に共通するのが、“令和の価値観”も“昭和の価値観”どちらも認め合いながら、共存していこうと成長する人間たちを描いている点。世代や多様な価値観を超えて、人と人とが刺激し合い、高め合っていく姿。それは、今の時代を「生きづらい」と感じるすべての人たちの希望にもなったのではないでしょうか。