今週は現代が合併号でお休み。

 まずはポストから。「令和のバブル」といわれる株高だが、浮かれているのは株屋と持ち株が値上がりした連中ばかりで、こちとら由緒正しい貧乏人には何の恩恵もないばかりではなく、物価上昇や年金目減りで、以前よりはるかに暮らしにくくなっているのだから、寿ぐ気には全くなれない。

 こうした時、浮かれて、株屋の提灯を持つのはポストと現代と相場は決まっている。

 自ら「バブル」といっているのだから、そのうちに弾けるのは間違いないだろう。まあ、私も現役時代は似たような記事をつくってきたのだから、罪は同じである。

 今週のポストは、よせばいいのに、またまた長者番付を大特集している。

 今回は上場企業4000社の決算書や大株主の情報などを整理する企業価値検索サービス「Ullet」の協力で、上場企業の最新の有価証券報告書から個人の大株主を抽出し、時価総額順に100人をランキングしたという。

 だが、上位の顔触れはほとんど同じである。

 第1位がソフトバンクグループの孫正義。あれだけの負債を抱えていてよくパンクしないものだという「興味」しかこの人物にはない。

 お次は、ファーストリティリングの父親の柳井正、長男の一海、次男の康治が並ぶ。8位には、これまた莫大な赤字を抱える楽天グループの三木谷浩史がいる。

 少し珍しいのは、最年少で11位にランクインした、M&A総研ホールディングスの佐上峻作(33)だろう。AIによる企業のM&A仲介を提供して創業からわずか3年8カ月で東証グロース上場を果たし、日本最年少のビリオネアとして米誌「フォーブス」の世界長者番付に名を連ねたという。

 読むほどに、わが身の哀れさに涙を禁じ得ない。彼らと私とでは、何が違っていたのだろう。私の人生は、株を買うことで違ったものになっていたのだろうか。

 だが、結論はノーである。カネがいくらあっても、人生が楽しいわけではない。自家用ジェットに乗り、フランスに所有しているワイナリーを見に行っても、それだけで楽しいのだろうか。

 株価の上げ下げに一喜一憂する人生が、うらやましいか?

 貧乏人を自任する人は読まないほうがいい。何の得にもならない特集だから。