「伊東側の2代目弁護士も基本的な姿勢は同じです。伊東については、性行為自体は認めながら、同意の有無については争う。一方で、トレーナーの男性に関しては、性行為そのものを争うという姿勢で、示談を進めようとしていたのです」
こう話すのはさる法曹関係者だ。
「つまり〈性行為自体なかった〉なる発言を加藤弁護士が行ったならば、それは明らかに過去の交渉経緯と矛盾を来していることになる」(新潮)
性犯罪やセクハラ問題に詳しく、犯罪被害者支援にも取り組む上谷さくら弁護士はこう話している。
「そもそも、同意を得て性行為をするのならば、多量の飲酒は必要なかったはず。仮に女性が自ら酒を飲んだとしても、酩酊中の同意は、真の同意ではありません。以上の事情は、女性側が“同意はなかった”と主張する際に有利に働きます」
ジャーナリストの伊藤詩織はこう語る。
「ファンにとって応援したい、大好きな憧れのスターであっても、被害を受けた女性にとってはまったく違います。ただの加害者です。相手の職業がサッカー選手であろうと、野球選手であろうと、記者であろうと、それはもう本当に変わらないことで」
さらに続ける。
「合意のない性的行為というのは、つまりレイプです」
伊藤は、日本の司法の在り方にも疑問を投げかける。
「特に性犯罪事犯に関して、日本の刑事司法システムの中で正義が十分に実現されてきたのかと言えば、そうではありません。こうした事情を踏まえて、今回のケースを見てほしいと思います。これまで、こうした事案がなかなか表沙汰にならなかったのは、世間に著名人を守る空気があったことも影響しているのではないでしょうか。そんな中、声を上げた女性たちには心から敬意を表したいです」
2つの性加害疑惑は、ジャニー喜多川の事件と同じように、これからの日本の#MeToo運動の行方を左右するものになるはずである。