さて、新潮によると、2016年12月、東京都内で催されたある政治集会で撮影された1枚の写真があるという。
当時、外務大臣だった岸田文雄が、米連邦議会議事堂の写真が表紙に使われた。「ILC2016」という英字の雑誌を手に抱えて、にこやかな笑みを浮かべている。
ILCとは国際指導者会議の略称で、旧統一教会の関連イベントだそうだ。2022年10月、山際大志郎経済再生担当大臣(当時)が、教団との関係を追及されて事実上更迭された、その一因となったのはこのILCへの参加だった。
なぜ教団との関係はないはずの岸田首相が、教団とズブズブとされたILCの雑誌を手に笑っているのか?
岸田首相にこの雑誌を渡したのは、教団関連団体幹部のXだという。関係者によれば、Xと岸田首相が初めて会ったのは2015年7月のある政治集会だったという。外務大臣の岸田はXと名刺交換をした上で、外交や国際情勢に関して意見交換を行い、握手を交わして記念撮影もしたというのだ。
それから1年5カ月後、都内の政治集会で岸田と再開を果たしたXは、ILCの雑誌を手渡して、この国際イベントの意義について熱弁を振ったという。2人のやりとりを近くで見ていた人物はこういう。
「XさんがILCの概要を説明している間、岸田さんも雑誌をめくって目を通していました。一通り話が終わると、Xさんは、“日本でもこのような国際イベントが開催できるように、外務大臣としてお力添えをお願いします”と頭を下げた。岸田さんも“そうですね”と頷いて、一緒に冊子を手に写真撮影をしていました」
問題は、岸田が、このXが教団関係者と知っていたかどうかだが、それは通らないと新潮はいう。
なぜなら、写真撮影の前、岸田が手に取り目を通した雑誌には、筆頭に(旧統一教会関連団体の)UPFが挙げられ、さらには旧統一教会の教祖・文鮮明と、その妻であるマザームーンこと韓鶴子総裁のツーショット写真が大きく掲載され、2人の「お言葉」も紹介されていたからだ。
「『旧統一教会系』であることが一目瞭然の冊子に目を通し“力添え”の要請に応諾。さらにILCの広報活動にも利用されるであろう写真撮影にまで応じる。ここまでの対応をしておきながら、『教団関係者とは知らなかった』で済ませることはできまい」(新潮)
旧統一教会の解散についても朝令暮改を繰り返した。
解散命令請求には抑制的であるべきだと消極的な答弁だったのに、その翌日、立憲民主党の小西洋之議員が国会で、昨日と答弁は変わらないかと追及すると、岸田首相は24時間前の答弁を撤回。急に、「結論から申し上げますと、(要件に)民法も含まれるという判断であります」といい出し、周囲を驚かせたのである。
その理由は、小西議員が前日に首相秘書官の下の担当官に、こう伝えていたからだった。
「政府はメチャクチャな法解釈を行っている。法解釈を改めないと“岸田首相は旧統一教会の守護神なのか”と追及しますよ。そう言われたくなければ、要件に民法の不法行為は含まれないという法解釈を撤回してください」
すると、その日の夜に、撤回しますと言う連絡が担当官から来たというのである。
この人には、守るべきことなど何もないのだろう。自分の都合が悪くなれば、ハイハイと何も考えずに修正したりいい換えたりするのだ。