その後、新條氏は原稿データの受け渡しや管理、宣伝などを代行してくれる配信取次会社にも「編集部」があると知り、そこと直接契約を結べばいいのではと気付いたとのこと。「原稿料を貰う代わりに、配信料の率を下げてもらったり、逆に原稿料はいらないから、配信料の率をあげてほしいというのも交渉次第です」とし、古い体質のままの大手出版社とは違って契約の自由度も高いと明かした。
新條氏は「漫画家に出版社はいらないと言ってしまうと暴力的ですが、実際に出版社が金銭面での足かせになってるのが現状です」「大企業の変わらない体制を変えようとしても無理なことがこの10年でわかりました」などとして、これからは個人の時代になると指摘。さらに「わたしは仲良くさせて貰ってる出版社も多いですが、こういうこと書くともう出版社ではお仕事できませんね。でも『そういう時代』です。漫画家という職業を守るためにはこういうことも発信しなきゃと思ってます」と思いを打ち明けた。
印税率の問題も重要だが、それ以上に衝撃的なのは「小学館が配信会社に圧力をかけて作家の独立を妨害しようした」ともとれる告白。旧ジャニーズ問題とも共通するような、業界の闇をうかがわせる。
小学館から離れた後に新條氏は集英社などで執筆しているが、自身のXで「集英社でちょっとでも嫌な思いをしたこと、一度もないです」と記しており、印税率以外の問題は大手出版社だからというよりも「小学館の企業体質」に原因があるのではとも感じられる。