◆脚本家が望んでも…オリジナル作品の実現は難しい

 本騒動において、X上で散見されるのが「オリジナルの脚本書いてこそ脚本家」「原作を借りずにTVドラマを作ればいい」「原作だけよこせ、というのがシナリオ作家協会の方針?」などという、“原作ものを書く脚本家=実力のない脚本家”という偏見のポストです。

 なかには『silent』(フジテレビ系)の脚本家・生方美久氏のような、敏腕プロデューサーに抜擢されオリジナル作品でデビューする稀なパターンもありますが、ほとんどの脚本家が新人時代から原作ものを経験しています。名前だけで視聴者が呼べるような存在になるまでは、原作ものの脚本から実績を積んでいくことが当たり前となっています。

 しかし、映像コンテンツが増え、漫画や小説の映像化へのハードルが以前に比べて低くなった半面、どんなに力のある脚本家でも「自分のオリジナルでドラマを作りたい」と言ってもなかなか実現しにくくなっているのが現状です。

画像:『セクシー田中さん』1巻 (小学館)
画像:『セクシー田中さん』1巻 (小学館)
 基本的に大手キー局でテレビドラマの企画が決定するのはおおよそ1年前です。オリジナル作品よりも原作ものが多いのは、スポンサーを集めやすい、固定のファンの取り込みでヒットが予測できるなどの事情もありますが、それを含め権限を握る局の上層部が「既存のコンテンツに乗っかることで企画成立の想像がしやすい」。これにつきると感じます。