◆働き方改革の“現実”を皮肉る痛快な内容

 渚が務めるEBSテレビでは、労働時間に徹底的に配慮したりなど手厚く新人AP2人を育てたものの早々に退職。カウンセリングルームを設置したが、カウンセラー自身が精神の不調を訴えて休職。結局は渚の指導は無駄に終わりただ単に時間を浪費しただけ。加えて、メンタルヘルスの改善は一向に図られず、余計に不安定になるばかり。表面的には“働き方改革の優等生”と言える同社だが、渚を見ていると働きやすい職場とは言い難い。そもそも、EBSテレビにとっても好影響につながっているようには見えず、働き方改革の現実を皮肉る痛快な内容だった。

働き方改革が思うように進まない原因
出典:株式会社ワーク・ライフバランス「企業の働き方改革に関する実態調査2022年版」
 実際、働き方改革コンサルティングをおこなう株式会社ワーク・ライフバランスが2023年3月に発表した調査結果によると、「働き方改革が思うように進まない原因」として「働き方改革=残業削減と認識し、残業削減以外の施策をしていないから」(26.2%)と答えた人が最多。次いで「とりあえず思いついた施策をやってみたにとどまっているから」「社内調査や分析で終わっているから」(24.5%)だった。(調査期間:2022年12月13日~2023年1月28日、調査対象:全国の20歳~70歳男女、有効回答数:事前調査 2,201件、本調査330件)

 渚のように“何となくの残業削減・施策導入”などに困惑している人は珍しくない。働き方改革が労働者の助けになっておらず、むしろ負担になっている職場は決して少なくなさそうだ。