翌朝7時ごろ、隣の部屋からXが4人を起こすために伊東の部屋に入ってきた。彼女たちは取るものもとりあえず、ホテルを後にしたそうだ。

「私は性被害を受けている間の意識がほとんどなかったんですが、なにが起きたのかをBちゃんに聞かされて愕然となりました。その後の弁護士を通じたやりとりで、伊東さんから中出しされたこともわかりショックを受けました。しかも、私が許せないのはマネージメントのXさんが、あたかも私の方から伊東さんを誘ったかのように私の知り合いたちに吹聴したことです。被害を受けたのはこちらなのに」

 またB子はこう語る。

「私が性被害に遭っている間、Aちゃんの意識はなかったわけで、自分が黙っていればこのことはなにもなかったことにできるのではないかと考えて、これまでは自分の被害については口を噤んできました」

 だが、夏ごろから過呼吸になる頻度が増え、性被害によるPTSDだと診断された。

「Aちゃんが刑事告訴するなら、私も一緒に声を上げようと決意しました」(B子)

 2人は共同で伊藤と専属トレーナーを刑事告訴しているが、警視庁が大阪府警と協議した結果、現場となったホテルの住所地を管轄する天満署が担当することになった。

 しかし、犯罪やセクハラ問題に詳しく、犯罪被害者支援にも取り組む上谷さくら弁護士はこういう。

「それらを立証する証拠は、過去の同種事例の判例から行為の動画などの客観証拠が決め手となっており、容易ではありません」

 また、彼女たちの主張に不利に働きそうな事情は他にもある。2人とも事後に、伊東にLINEで「お疲れ様」を意味するスタンプや「また飲みましょう」という挨拶を送ってしまっているのだ。

 これについてA子は、

「私たちはなにも好き好んで、伊東さんにLINEを送ったわけじゃない。二人ともトレーナーの男性に“すごい選手なんだから、連絡先を交換しておいた方がいい”などとなかば強いられて伊東さんにメッセージを送らされただけです」(A子)

 上谷弁護士がこう続ける。

「性被害を受けた直後に、性被害に遭ったという認識が無いことは、よくあることです。なかなか現実を受け入れられない、無かったことにしたいという心理も働きます。だから女性がすぐに警察や病院に駆け込むことは少なく、性犯罪の立証は難しい。今回の女性たちは半年足らずで打ち明けられるようになったということですが、それでも早い方だと思います」

 女性二人にとっては「セカンドレイプ」にもなりかねない裁判になるかもしれないのだ。彼女たちの勇気は称えられていいだろう。

 松本人志のケースもそうだが、性加害かどうかは当人たちにしかわからない。だが、妻がありながら、女衒のような人間がお膳立てした女性たちを、酔わせ、抵抗力のない状態でSEXしたとすれば、非難されてしかるべきである。

 伊東も松本人志と一緒に会見を開いて、自分に利があるなら語ったらいい。日本のプロ野球はこうした問題に寛容かもしれないが、ヨーロッパなどは、こうした噂が出るだけで、その人間を遠ざけるのではないか。

 伊東にとって、人生最大の危機であることは間違いない。