悲痛な胸の内を文春に吐露するのは、多くのバラエティー番組に出演した過去を持つ、元タレントの大塚里香(37)である。
「私は仕事柄、多くの芸能人と食事をする機会がありましたが、あんなにひどい酷い仕打ちを受けたのは、私の人生で彼だけでした。あの出来事はトラウマとして記憶に残り、ずっと苦しめられてきまし」
そう語る。
その前に、松本人志が文春を訴えるに至った経緯を振り返る。
その内幕を知る吉本関係者がこのように明かしている。
「提訴したのは、吉本興業ではなく、松本さん自身。当初、彼は別の弁護士にオファーを出していましたが、『勝算がない』と次々断られ、最終的に田代(政弘=筆者注)弁護士に白羽の矢が立ったのです。彼は、陸山会事件で捜査報告書に虚偽の記載をしたとして、虚偽有印公文書作成及び行使罪で告発され、検察官を辞職した人物です」
だいぶ苦労した末の弁護士選びだったようだ。
さて、大塚が悲惨な経験をしたのは18年前で、最初に松本人志を告発したA子の事案は9年前のことだった。
時期はかなり違うが、松本が来ることを知らされていない、携帯電話の使用制限、松本と二人きりにさせるなど、手口はほとんど同じだったようだ。
大塚は当時19歳だった。
今回、実名で顔出し証言に踏み切った背景には、松本の提訴、そして告発者であるA子に共感して力になりたいという思いがあるそうだ。
「〇六年八月、私は友人から『知り合いの芸人と会食がある』と誘われ、他のメンバーを知らされないまま、参加しました」
指定された場所は最初、都内のカラオケ付きのバーだった。特等席に座る松本の脇を固めるのは、後にM-1王者として芸能界で確固たる地位を確立する後輩や、海外出身の異色の芸人だったという。
二次会は松本の家だった。後輩芸人に無理に連れて行かれてしまったそうだ。松本は6畳ほどの狭い寝室に置かれたベッドに腰掛けていた。
「座りや」といわれた後、キスを迫られる。ベッドの端に腰をかけた彼女は、身体に伸びる手を拒み、精一杯の抵抗を試みたそうだ。
「ちょっと今は……。もっと仲良くなってから」
大塚が約10分間の出来事を振り返る。
「芸能界の大先輩を怒らしたことが怖くて仕方なく『本当にごめんなさい』と言って部屋を出たのですが、すぐに松本さんが後を追ってきた。みんながいるリビングで『なんで俺とできないんや』と、四十歳前後の大人に囲まれ、あまりの恐怖で苦笑いしてしまった。ところが、松本さんは『こういう女は笑ってるだけで、何も考えてないねん。自分ってものがないねん』と、人格を否定するようなことを延々言ってきたのです」
文春によれば、松本を告発する女性たちの輪は、日に日に広がりを見せているという。