■豊本明長
「この時間」
多くのコントで小ボケ、フリ役を担当する豊本だが、女性役の「トヨミ」となると、がぜんその不気味さが露わになる。夕暮れの屋上にひとりたたずむOLトヨミ。そこに部下の角田が現れる。夕日にたそがれるトヨミの横顔に、角田の思いがあふれてしまう。まったくテレビ向きでない、舞台だからこその作品となっている。
「そういう人」
ワインが出るようなちょっといい店で2人で飲んでいる飯塚と角田。飯塚が角田に「おまえを気に入っている女性」を紹介するのだという。その女性は、おしとやかなお嬢様だというが、店に現れたトヨミは……。ヅラをかぶらず地毛のままのトヨミを演じる豊本だが、まさしくそういう女性にしか見えない作品。
「トヨモトのアレ」
最後にトヨミ以外の豊本ネタも1本。実際に週刊誌にスキャンダルをすっぱ抜かれた豊本に対するイジリネタ。浮気がバレてLINEの流出もされて落ち込む豊本をイジリ倒す角田と飯塚が、実に楽しそうに演じている。対応によっては致命的にもなりかねないエグさのスキャンダルだったが、コントに昇華するのが東京03流といったところか。
*
リーダー・飯塚悟志をして「角ちゃんの面白さを伝えるトリオ」として始まったと語る東京03。だが、全国ツアーを重ね、作品を作り続けることで3人ともが中心を取れるネタのバリエーションを手に入れた。
日本のお笑い界の財産ともいえる珠玉のコント集。この機会にできるだけ多く視聴しておきたいところだ。
(文=新越谷ノリヲ)