「え、今の声、誰?」「俺、あんなん言うた?」

 いつもの明るく楽しい浜ちゃんの口調である。このオープニングについてひとしきり盛り上がると、井本から「収録としては、今年初めて」という事実が明かされる。そして、その流れで「ねえ浜田さん、なんか、大変そうですね?」と井本がさっそく本題に入っていく。

 浜田と井本の関係は深い。2001年に上京したライセンスは、すぐさま『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)の前説の座を勝ち取り、以降、公私ともにダウンタウンの懐刀となっていく。当時、毎日のように浜田に食事をおごってもらっていたという井本は13年の同番組で浜田とのエピソードを明かしている。浜田の50歳の誕生日に際し、“笑いなし”の感謝状を贈るという企画だ。

 上京当時、浜田にビビり散らかしていた井本は食事のときにも皿や灰皿を積極的に取り替えるなど、後輩としての動きを徹底して行っていたが、途端に浜田が不機嫌になり、「そんなのええから、食え」と言ってきたのだという。さらに、食事を終え帰宅する段になり、井本が浜田に「運転します」と申し出たところ、浜田がキレ気味に「おまえ、東京に何しにきてん? 運転手氏に来たんちゃうやろ」と言い出し、井本を横に乗せて家まで送って帰ったことがあったという。そのとき、浜田に送ってもらった時間を井本は「僕の宝物です」と語っていた。

 そんな関係性だからこそ、井本にその役割が課されたのだろう。浜田に松本のことを切り込むという仕事は、芸人にとって、まったく容易ではない。