◆名言「悪意にまみれたナイフ」

『3年A組』の柊も、一歩立ち止まり、自分の頭で考えをめぐらせることの重要性を説いていた。パワハラ疑惑をかけられた教師を、SNS上で炎上させてやろうと企んだ生徒があらわれたことを機に、「変わってくれ」「悪意にまみれたナイフで、汚れなき魂を傷つけないように」と繰り返していた。

憶測、推測、噂、陰口……。九条の言うように、「人の意見は得てして、そう考えるほうが自然だというほうへ流れていく」ものだ。なぜなら、そのほうが楽だからである。

一歩だけ、踏みとどまってみる。面倒だけれど、一呼吸分だけ、考えをめぐらせてみる。その一瞬の間が、もしかしたら、他者の心を守ることにつながるかもしれない。それがひいては、自分の内なる声に集中し、自分の心をも守ることにつながるはずだ。