『毎日小学生新聞』(毎日新聞社)で連載執筆中、NHKの番組でも作品が紹介されるなど、注目の高校生動物写真家・藍沙さんが、自身の師匠であり、昨年急逝した動物写真家の小原玲さんについて語った。愛くるしい北海道の野鳥、シマエナガのブームの火付け役であった小原さんが、最後に撮ったかわいすぎる被写体とは? 以下、藍沙さんの寄稿。
◆亡くなる直前までモフモフの小動物を撮影
「はい、これ。藍沙さんにプレゼント」―手渡されたのは、写真集『森のちいさな天使 エゾモモちゃん』(講談社ビーシー)。私の写真の師匠、動物写真家・小原玲さんが撮った、エゾモモンガのかわいすぎる写真集です。先日、東京都港区で私が「愛・生きとし生けるもの展」で写真の展示を行った際に、小原さんの妹さんからいただきました。アザラシやシマエナガの写真集を大ヒットさせた小原さんが、昨年11月に病気で亡くなる直前まで撮影していたモフモフの小動物、それがエゾモモンガなのです。
エゾモモンガは、リスの仲間で体長15センチメートル前後。体重は100~120グラムしかない小さな動物です。特徴は、大きな皮膜。これを大きく広げて木から木へと、ピュー、フワッという感じで、紙飛行機のように滑空します。大きな目も特徴で、正面から見ると、アイラインがハート型に見えます。あざとい! ただでさえ、白くてモフモフしているのに……もう、ずるいくらいかわいい動物です。
思い出すのは、約5年前の北海道。「あーちゃん、動物を撮る時はね、動物の目線にカメラの位置を合わせるといいんだよ」。シマエナガの撮影で、小原さんがそう教えてくれたのをよく覚えています。当時、小学5年生だった私からみれば、熊みたいに大きい小原さんが身体をかがめて、雪の上をお散歩するシマエナガを撮っている様子はなんだかユーモラスでした。