◆研ぎ澄まされた美の勝算

 家治と倫子の婚礼の手前、ここでひとつめでたく思うのは、亀梨は本作が時代劇初挑戦ということ。めでたさと同時に、これは意外だった。ちょんまげ頭が凛々しい亀梨をこれまでにも見た気がするが、記憶違い?

 いやいや、爽やかな記憶違いとは、これまためでたい。ただ、「どうも最近の時代劇は……」などとつい付言したくもなってくるのは、何でかどの俳優も時代劇となると、単なるコスプレにしか見えないからだ。

 たぶん、これは往年のスターのような凄みを令和の俳優に求めても仕方がないというだけの話なのかもしれない。その点、凄みよりもむしろ研ぎ澄まされた美、それ自体を武器に勝負する亀梨には、勝算は十分ある。