能登半島地震で急激に関心を集めている南海トラフ地震だが、よくいわれているように、地震予知は不可能に近い、いや不可能であるようだ。

 政府の地震調査研究推進本部は、数年に一度、「全国地震動予測地図」を公表している。これは30年以内にその地で震度6弱以上の揺れが起きる確率を色分けしたもので、色が濃ければ確率が高く、薄ければ低いことを示し、ハザードマップも公開している。

 だが、この予測地図を見ても、最新の2020年版では、石川県の大部分で、その確率は0.1~3%未満と分類されていたのだ。

 石川県が企業誘致のために開設したホームページを見ても、予想地図の石川県部分を示し、「地震リスクは小さい」と強調していたという。

「地震の予知はもちろん、予測も不可能なんです」

 こういうのは、東京大学名誉教授で地震学者のロバート・ゲラーだ。

「地震との因果関係が証明された、もしくは統計学的に有意な関係が確認された前兆現象は何一つないのです。前兆がわかると主張する研究者は“前兆幻想”に囚われているというしかない」

 だから決論はごくごく当たり前だが、

「日本ではいつでもどこでも不意打ちで大地震が起こりうる。政府の出すいい加減な情報に頼らず、誰もが防災に関する意識をより高めなければなりません」

 これがいかに難しいことか、今回、政府の対応の遅さを見てもよく分かるが、ではどうするのか。

 国土強靭化といっても、国中を耐震強化できるはずもない。地震のない国へ移住するしかないのか。