この追納金は年によって少し異なりますが、令和4年度分の月額は16,590円でした。
仮に令和2年から令和4年まで学生納付特例制度を受けた場合は、猶予期間分の国民年金保険料約60万円を納付すれば、36ヶ月分が年金額に反映されるようになります。
簡単に言えば将来受け取れる老齢基礎年金額が回復するということです。
まとまった金額を追納するとかなり大きな金額に感じますが、追納した金額は「社会保険料控除」の対象となり、所得税・住民税が軽減される場合があります。仮に課税所得金額300万円の方が60万円を納付した場合、軽減される税額は所得税・住民税合計で12万円です。
■注意すべき点
学生納付特例制度は申請をしないと「猶予」ではなく、「未納」という扱いになります。年金は老後の生活資金というイメージがありますが、万が一のことが起こったときも生活の支えになる制度です。
例えば学校の実習中に事故に遭い、重い障害が残った場合、「猶予」であれば障害基礎年金という年金が受け取れますが、「未納」では受け取れない場合があります。
また猶予を受けてから10年を超えると追納はできません。収入が増えたら追納しようと、いつまでもそのままにしておくと、追納できる期限が過ぎてしまうため注意しましょう。
■追納する方が得するかも
人生100年時代といわれるようになるほど、長生きできる時代になりました。老齢基礎年金は生きている限り受け取れる年金です。
20歳から22歳まで国民年金を納めないと、年間約6万円、将来の老齢基礎年金額が減りますが、老後を30年間と計算すると総額で180万円も減る計算です。納めた保険料は所得控除を受けられることから、極力納めておくことをおすすめします。
文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー) 立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、FPとして活動を開始。個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。