2012年の引退後も政界に隠然たる影響力を及ぼしてきた森喜朗に、特捜部は重大な関心を寄せていると、新潮は報じている。

 清和会関係者が声を潜めてこう明かす。

「あるベテラン議員は、任意の事情聴取の中で自身と森さんとの関係や5人衆と森さんとの関係などについて根掘り葉掘り聞かれたと言っています。その議員は担当の検事に“表向きは5人衆の集団指導体制で、彼らが派閥の運営を取り仕切っている形にはなっている。しかし、実際には森さんが5人衆にあれこれ指示し、差配している”と証言したそうです」

 社会部デスクもこう話す。

「注目を集めているのが、22年分のパーティー収入に関する還流です。その年は生前の安倍晋三元総理が還流を問題視して、一度は中止を決めていた。ですが所属議員から反対の声が相次ぎ、安倍元総理の死後、事務総長の西村康稔前経産相(61)が還流の再開を決めたのです。特捜部はその再開指示の証拠となる書類も入手しています。

西村氏は還流分について、議員個人が開催するパーティーの収入として収支報告書に記載すれば問題はないだろうという考えでした。しかし、22年8月に高木毅前国対委員長(67)に事務総長が変わると、結局、従前どおり裏金として処理するすることになった。この西村氏と高木氏の一連の意思決定に森元総理が関わっていないはずがない、と特捜部は睨んでいるのです」

 かねてから地元政界関係者の間では、高木は国務大臣への推薦を得るために森元総理に多額の金を上納したのではないかという疑惑が囁かれていたともいうのである。

 特捜部よ、初心に立ち返り、巨悪を眠らせない覚悟を示せ。そうでなければ、もはや特捜部などいらない。多くの国民がそう思うはずである。