太田は漫才や映画と小説執筆作業の違いについて「人を1人2人作る、人格を作っていくっていう。そうすると中盤あたりから『こいつこうするんだろうな』ってこっちが考えるより先に動き出す、そういう楽しさがあるよね」と語る。

 それに比べて「漫才は苦しい」と言うのだ。

 爆笑問題のネタ作りについては、ラジオ『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)などで、たびたびその様子が語られている。太田の自宅に相方の田中裕二と作家を集め、時事の話題について太田がボケを考え、その場で田中がツッコミを入れるという作業を繰り返しながら書き溜めていくのだという。新ネタは隔月のタイタンライブ用に1本ずつ、それに年末年始の特番用に数本、さらに毎年『爆笑問題のツーショット』と題した1時間から1時間30分ほどの新作を下ろしている。『ツーショット』で披露する漫才は1カ月以上前から準備を始め、制作期間中に起こった事件も織り込みながら仕上げていく。

 それほど苦しいのに「なぜ漫才を続けてるんですか?」と加藤は問う。「テレビもたくさん出てるのに」と。

 太田の答えは「成り行き」だった。爆笑問題は太田プロダクションから鳴り物入りでデビューしたものの、当時の担当マネジャーの画策した独立計画が頓挫したことで退社を余儀なくされ、約3年間にわたって空白の時期を過ごしている。その後、太田プロ復帰の話が持ち上がったこともあったが、太田は義理を通す形で現在の事務所であるタイタンの立ち上げた。