◆令和ロマンのネタがウケた要因と「競技漫才」
――今回はトップバッターが勝ち続けるという、くしくも『キングオブコント2023』の“カゲヤマ現象”の再来となりました。不利と言われて久しかったトップ出番が優勝するなんて、誰も事前に予想できなかったと思います。
<不利を覆(くつがえ)されましたね。正直、トップバッターが残り続けると、誰もその面白さを超えてこないということになるので、興行的には盛り上がらないんですよ。それでも、松本人志さんが彼らに90点をつけたことで、全体的に低めの採点にならざるを得なかった。ファーストステージ1位通過のさや香にも「令和ロマンを超えてない」という理由で80点台でしたからね>
――あれだけ令和ロマンが出てきただけで盛り上がったので、観客のノリが良い大会になるのかと思いきや、実際はそのようなこともなく。後の出演者たちはかなり苦戦しているように感じました。
<令和ロマンは一発目のボケが本当に良くて、そこが受け入れられた時点で勝ちだったと思います。特に「ヒゲとモミアゲをつなげて顔だけ独立」のくだりからの、くるまさんが口にした「歩くタックスヘイブン」という言葉。あれが大人たちを刺激したんですよ。コイツ、バカじゃないぞ。油断できないぞ、と。
彼らは本当に「漫才とは、賞レースとは」を研究し尽くしていると思われますからね。自分が得意とする時間の使い方やボケ配置を、しっかりわかっているんです>
――本大会で令和ロマンのネタがウケた要因はどこにあるのでしょうか。
<「ボケ数が多くツカミが早い」。これは準優勝のヤーレンズも同様なのですが、今回の二組の活躍を見ると、これまでのM-1とはメインストリームが変わる傾向にあると感じます。
具体的には2008年優勝のNON STYLEや、2007年3位のキングコングなど、のちに“競技漫才”と呼ばれるような、ボケ数が多いスタイルに近くなっているんです。ツカミは早く、ボケ数は多く、終わりはサラッと。時代がもう一度まわってきたのかなと思いました。
令和ロマンもヤーレンズも「このボケは誰かに刺さるだろう」という気持ちで詰めるだけ詰め込んで、時間いっぱいで「ありがとうございました」と終わらせる漫才をしていますね>